哲学心理研究所へようこそ

哲学心理研究所では、哲学の知見を活用した人間心理の研究を行っています。その研究結果を踏まえ、メンタルヘルスケアに貢献するべく、企業(働く人々)を対象としたメンタルヘルス研修や、専門家を対象とした認知行動療法研修を行っています。

ここでいう哲学とは、主として、弁証法と認識論のことを指します。

弁証法とは、古代ギリシャで誕生し、カント・ヘーゲルによって大いに発展し、マルクス・エンゲルス・ディーツゲンを経由して、戦後の日本で三浦つとむ・南郷継正によって整理・体系化された学問です。古代ギリシャでは弁じて証明する技術、すなわち、弁証の方法=哲学的問答として誕生しましたが、中世においては鳴りを潜め、ようやくカントにおいて二律背反として復活し、それを踏まえたヘーゲルは世界全体=絶対精神の運動として弁証法を観念論的に確立しました。

このヘーゲルの観念論的弁証法を、それまでの自然研究を踏まえて唯物論化したのがエンゲルスであり、エンゲルスの弁証法を整理したのが日本の三浦つとむ(『弁証法はどういう科学か』)でした。そして現在、三浦つとむの弁証法を純粋に受け継ぎ、さらに発展させて体系化したのが、南郷継正であると私は理解しています。この三浦つとむ・南郷継正系統の弁証法をしっかり学び、心理臨床に活かしていこうとするのが哲学心理研究所の大きな目的の一つなのです。

また、ここでいう認識論とは、人間の頭脳活動の本質を究める学問のことです。古代ギリシャ時代から、プラトンやアリストテレスを中心とする哲学者によって、人間の人間たるゆえんの認識について研究されてきて、イギリス経験論のフランシス・ベーコンやジョン・ロック、大陸合理論のルネ・デカルトなどの哲学者によってさらなる研究がなされ、両者を統一したドイツのカント、そして、フィヒテ、シェリングを経由して、大哲学者ヘーゲルによって、観念論の立場での認識研究が、完成に近づきました。

これが、マルクス・エンゲルスらによって不十分ながらも唯物論化され、これまた戦後日本の三浦つとむに流れ込み、南郷継正・薄井坦子・海保静子らの手によって、大きく発展させられたと理解しています。哲学心理研究所では、このような認識論発展の歴史理解のもと、これをしっかりと受け継ぎ、人々のメンタルヘルスに活用しながら、さらなる認識論の発展に貢献すべく、研鑽を重ねているところです。